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病気について

帯状疱疹ワクチン NEW

 帯状疱疹は水ぼうそうのウイルスによって体の片側に痛みを伴う水疱をつくる皮膚疾患です。頭部・顔面から手足などあらゆる場所に出現する可能性があります。50歳代から発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症するといわれています。
 そんな帯状疱疹を予防するワクチンがあります。現在使用できるワクチンは2種類あります。一つは生ワクチンのビケンとうい薬剤で、これは発症予防50%で、効果期間は5年間といわれています。1回接種で済みます。もう一つは、不活化ワクチンのシングリックスという薬剤でこれは発症予防効果が87%あり、効果期間は10年間といわれています。帯状疱疹後神経痛も70歳以上では85.5%減少します。接種は2回必要です。
 帯状疱疹ワクチンは接種部位の痛みなど副反応もありますが、全体的には有益な結果をもたらします。どちらの薬剤も一長一短であり、費用の差もあるため、接種する際どちらを選択するかは医療機関でご相談ください。

2023年9月15日掲載

口唇・口角部の皮膚炎

 最近ではマスクの影響による皮膚炎の患者さんが増えていますが、日常、口の周りに起こりやすい皮膚炎もあります。
 口唇の皮膚炎で最も多いのが単純ヘルペスです。これは直射日光を浴びたり風邪をひいたりしたとき、また体調が悪いときに、口唇やその周囲に小さな水疱が出現しやすく、再発性です。次に多いのが口囲皮膚炎です。小児は口唇が乾燥すると口の周りをなめ回すことが多く、なめた通りにかぶれを起こすことがあります。次に代表的なのがマンゴー皮膚炎です。マンゴーを食べた時に汁が口の周りに付き、かぶれが生じることがあります。
 口唇と同様、口角に亀裂が生じることもあります。多くは乾燥が原因ですが、カンジダや細菌が原因の場合もあります。カンジダ症は、口唇の表面が湿っぽくなり皮が薄くはがれたようになります。乳児や高齢者に見られることが多いです。
 それぞれ治療が異なってくるため、適切な診断が大切です。

マイタウン 2020年11月1日号掲載

マスクによる肌荒れ

 新型コロナウイルスの影響で、マスクを着用する機会が多くなってきています。それに伴い、口周りや耳などの肌トラブルを訴える患者さんが増えています。
 マスクの影響で口周りが蒸れ、それに伴い雑菌が増えることによりニキビが出現します。また、マスクで肌がこすれるといった機械的刺激によってかぶれることがあります。マスクのゴムによる耳の裏のかぶれも起こることがあります。
 一般的には不職布のマスクよりは布マスクの方が、コットンやシルクなどの天然素材が使われており肌にやさしいと言われています。しかし、合う合わないは個人差があるため、いろいろな素材を試してみて、自分に合った素材のマスクを見つけることが大切です。
 それに加えて日々のスキンケアも重ねて大切です。マスクによって溜まってしまった汚れを石鹸でやさしく、そして強くこすらないように洗うようにしましょう。

マイタウン 2020年9月1日号掲載

紫色のあざ

 紫色のあざは紫斑(しはん)と言い、皮膚の下で出血する皮膚症状の一つです。けがや打ち身などでできるものが一般的ですが、外傷が無い場合では全身性の疾患によるものがあります。
 全身性の疾患として、血を止める働きのある血小板や凝固因子が低下するもの、アレルギーなどが関連するものがあります。一方、高齢者は皮膚が弱くなったことによってできる紫斑が多いです。また、血をサラサラにする抗凝固剤や抗血小板剤を服用することが多い高齢者にも多く見られます。特に腕によく見られ、記憶に無いくらいの軽い外傷で起こることもあります。これは2週間程度で自然に消えますが、皮膚自体の老化のため繰り返してしまいます。
 また、トイレでのいきみ、嘔吐、咳などでも紫斑ができることがあります。頻繁に紫斑ができるようであれば、医療機関を受診し相談しましょう。

マイタウン 2020年7月1日号掲載

デルマドローム

 皮膚は内臓の鏡といわれるように、内臓疾患の症状として皮膚に現れることがあります。これをデルマドロームといいます。
肝疾患であれば黄疸といって皮膚が黄色くなり、手のひらが赤くなることもあります。後頸部や背部にかけて痒みを伴う赤褐色の皮疹が出現する色素性痒疹という皮膚疾患があります。比較的女性に多く、これは過度なダイエットによるものや糖尿病が隠れていることがあります。また、体全体が赤くなる紅皮症というものがあります。原因は薬剤性や感染症、皮膚疾患の急性増悪の場合もありますが、なかには悪性腫瘍が隠れていることもあります。
 このように内臓疾患や糖尿病などのような代謝性疾患の症状として皮膚に現れることがあります。皮膚科医が注意深く患者を診察していくとともに、患者側も健康診断を受けるなど、日頃からヘルスケアをしていくことが大切です。

マイタウン 2020年4月1日号掲載

足の裏のガサガサ 

 中高年になると足の裏がガサガサになってくることがあります。特に女性に多く、踵や母指球(親指の付け根の膨らんだ場所)に多く見られます。年齢を重ねると皮膚の発汗量や皮脂分泌が低下し、皮膚が乾燥してきます。また、手のひらや足の裏には皮脂線がないため、加齢と共に皮膚の水分量が少なくなることでひび割れなどの症状が生じ、それを補うために角質が増えてきます。これが足のガサガサの原因です。また、皮膚の水分量は女性ホルモンが関連しているとも言われています。その他、足のガサガサの原因としては湿疹や水虫の可能性もあるため、そのような症状がある場合は皮膚科での診察が望まれます。お風呂でガサガサに対してごしごしこすると、余計に乾燥の原因となりますので、そのようなことはしないようにしましょう。治療は、サリチル酸ワセリンや尿素軟膏の外用によるスキンケアが中心となります。

マイタウン 2020年2月1日号掲載

加齢に伴う皮膚の痒み

 加齢に伴い皮膚の表面が薄くなり、皮脂や天然保湿因子の産生が減少すると、乾燥肌となってきます。さらに皮膚が薄くなることによって痒みの知覚神経が表皮内に進入し、温度の変化や衣服の接触といったちょっとした刺激で痒みが出現します。このように、高齢者の皮膚は乾燥しているため、明らかな皮疹がない場合でも痒みが出現することがあります。また、皮膚を掻くことによって湿疹化していくこともあります。湿度の低い冬場はこれが顕著となります。このような症状に対しては、保湿外用剤で皮膚に潤いを与えます。痒みが強い場合は、ステロイド外用剤を一時的に使用します。体全体が痒い場合や一人暮らしの高齢者で背中など手の届かない場所が痒いときは、痒みを抑える内服薬を併用することもあります。また、体を洗う際にタオルなどで強くこすることも皮膚乾燥の原因になるため、優しく手だけで洗うようにしましょう。

マイタウン 2019年12月1日号掲載

尋常性白斑 

 皮膚の色が白く抜けてしまう皮膚の病気があります。尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)と言います。乳幼児から高齢者まで広く見られます。痒みは通常伴いませんが、全身皮膚のいずれの場所にも出現します。小さい病変から全身に広く出現することもあります。原因は、免疫の作用によってメラノサイトという細胞が破壊されると考えられています。メラノサイトは皮膚の中にある細胞で、黄褐色のメラニンを作ります。そのためメラノサイトが破壊され、それが減少もしくは消失するとメラニンが作られなくなり、皮膚が白く抜けてしまいます。治療は、範囲が小さい場合は副腎皮質ステロイドなどの塗り薬を使用します。また、全身に広がる場合は副腎皮質ステロイドを全身投与することもあります。その他、紫外線療法も有効です。いずれにしても短期間での改善は期待できず、根気よく治療を続けることが大切です。

マイタウン 2019年10月1日号掲載

手湿疹 

 手湿疹は、手が赤くカサカサになって痒みが出たり、ひび割れができて痛みが生じたりする皮膚疾患です。洗剤や手の洗い過ぎによって手のバリア機能として大切な皮脂膜が失われ、さらに原因となる物質に繰り返し触れることによって発生します。水仕事の多い主婦や美容師、調理師などに多く見られます。
 また、かぶれによって起こることもあり、生野菜などの食品や除菌スプレーが原因となっていることもあります。その他、奇麗な洗濯物を畳むときも手の油分が取れて荒れてしまうことがあります。
 治療は失われた皮脂膜を補う目的でクリームや軟膏などを使用して保湿を行います。また、皮膚の炎症が強く痛みや痒みを伴う場合は、ステロイド外用剤を使用します。水仕事の際はビニール手袋などで手を保護することも大切です。症状が強いときは保湿を行い、絹の手袋を着用して就寝すると効果的です。

マイタウン 2019年8月1日号掲載

痒疹 

 強い痒みを伴う皮膚疾患で痒疹というものがあります。症状は手足や体幹に褐色でいぼ状の皮疹やじん麻疹のような皮疹として現れます。急性と慢性があり、急性痒疹は子どもに多く、虫刺されの後などに出現することがあります。一方、慢性痒疹は中高齢者に多く腎疾患や肝疾患、糖尿病などの基礎疾患に付随して出現することがあります。原因として、基礎疾患の他、アレルギー・ストレス・ホルモン失調・感染症などが関与していると考えられています。また、妊娠なども関連して症状が現れることもあります。
 治療はスキンケアを行い、ステロイド外用剤や抗アレルギー剤などを使用します。適切なスキンケアとして、皮膚への刺激が弱い石けんなどを使用し、強くこすらないようにします。また、皮膚が乾燥している場合は保湿を行います。難治例に対しては液体窒素をあて、症状を緩和させることもあります。

マイタウン 2019年6月1日号掲載

口腔アレルギー症候群 

 今の季節、スギやヒノキなどの花粉で悩まされている患者さんも多いです。花粉症の人が特定の果物や生野菜を食べた時「口の中がかゆくなる」といった症状が多くあり、それは口腔アレルギー症候群かもしれません。例えば、スギ花粉症がある場合、トマトを食べると15分以内に口の中や喉にかゆみやヒリヒリ感を感じたり、口腔内が腫れたり、鼻水が出たり、眼や皮膚のかゆみ、腹痛・下痢などの胃腸障害が現れることもあります。これは果物や生野菜に含まれるアレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)が、口の中の粘膜に触れて起こるアレルギー反応「交差反応」で、体内のIgE抗体が関係します。アレルゲンは小腸に達する前に壊れるため、主に口の中だけで反応が起こるとされています。治療は原因食物を摂取しないことが大切ですが、加熱した食品であれば摂取可能なこともあります。これらの症状が出た際は、抗ヒスタミン薬などで治療します。

マイタウン 2019年4月1日号掲載

凍瘡(しもやけ)

 冬になると手や足の指が赤く腫れることがありますが、その多くがしもやけです。
 平均気温が4〜5°C、一日の気温差が10°C前後で発症しやすく、厳冬よりも初冬や初春に生じやすいです。繰り返し寒冷にさらされることによって皮膚の血流が悪くなり発症します。手や足の指以外に耳たぶや頬にも出現することがあります。
 発症の要因は気温だけではなく、汗をかきやすく湿っぽいなどの遺伝的要因も関与しています。
 しもやけは予防が大切です。冬場は外出時だけでなく家内でも靴下を着用し、外出時は手袋や耳当てなどをして、寒冷にさらさないようにします。またお風呂などでマッサージも効果的です。そのほか血流改善にビタミンEの服用や保湿剤外用で治療します。
 しもやけと似た症状の中には、膠原病や動脈硬化によることがあり、予防やマッサージでも改善が認められない時これらを疑います。

マイタウン 2019年2月1日号掲載

ヘアカラーによるトラブル

 頭部の皮膚トラブルの一つにヘアカラーによるアレルギー性接触皮膚炎があります。カラー剤成分(パラフェニレンジアニン)に感作されると、ヘアカラー後数時間から1〜2日以内に頭部、顔面、頚部に痒みを伴った発赤を生じます。反応が強いと胸部まで広がることもあり、また約10%の人では自家感作性皮膚炎という全身に発疹が広がる症状が出現することもあります。
 ヘアカラー後すぐにかぶれの症状が出現した場合は診断が容易です。しかし、過去に何度も使用しているヘアカラー剤が原因で頭部や顔周辺が痒くなり、発赤し皮が剥けてくる場合もあります。そのため昔から使用しているからといって、そのヘアカラー剤が皮膚トラブルの原因ではないと言い切ることはできません。
 治療は、まず疑わしい薬剤を中止することが大切です。場合によってはパッチテストで原因を確認することが必要です。

マイタウン 2018年12月1日号掲載

手足口病 

 手足口病はコクサッキーウイルスやエコーウイルスなど複数のウイルスによる感染症で、主に経口感染し、夏に流行します。年齢は4歳以下の乳幼児が約80%を占め、まれに成人も発症します。原因ウイルスが複数あるため2回かかることもあります。
 症状は、口の中や手足に小水疱がパラパラ見られることですが、お尻に認められることも多いです。成人では発熱を伴い広範囲に皮疹が出現する傾向があります。また、ウイルスの種類によっては罹患1〜2か月後に爪の変形を来すこともあります。この疾患は通常は軽症で自然治癒するため、経過を観察するのみです。しかし、発熱が持続する場合や中枢神経の症状が疑われる場合は放置せず、医療機関を受診してください。皮疹は約1週間できれいに消えます。気道から1〜2週間程度、便から4週間程度ウイルスの排出があるため、感染拡大予防としてこの間は手洗いの徹底をすることです。

マイタウン 2018年10月1日号掲載

酒さ(しゅさ)

 顔の赤みが繰り返し出現する酒さという皮膚病があります。中年以降の女性に多く、顔面中央の部位、鼻・前額・ほほ・あごに紅斑や紅色丘疹が出現し、毛細血管が拡張して赤ら顔になります。ほてりや刺激感を伴うこともあります。病状が進むと、ニキビのような発疹が目立ち、さらに病状が進むと男性に多いのですが、鼻に膿疱や浮腫を生じ凸凹してくることもあります。酒さは原因が不明で確立された治療法がないため、完治するまでに時間を要します。誘因・増悪因子と考えられる、紫外線、寒冷・温熱刺激、香辛料などの刺激物の摂取、飲酒は可能な限り避ける必要があります。紫外線に対してはサンスクリーン剤を使用し、激しい運動を避け、強い気温差のある環境に曝さないことが大切です。ニキビのような発疹が出る際は抗菌剤配合外用剤を使用し、症状が強い場合は、抗菌剤を服用することもあります。その他、漢方薬が効果的なこともあります。

マイタウン 2018年8月合併号掲載

尋常性乾癬 

 乾癬(かんせん)と言う皮膚疾患があります。同じ「かんせん」でもウイルスや細菌などによる感染症とは違うため、人にうつることはありません。症状は、境界の明瞭な紅斑ができて銀白色の厚い皮がパラパラむけてくることが特徴です。痒みはあることもないこともあります。好発部位は被髪頭部・四肢伸側・腰臀部ですが、爪を含めて全身の皮膚に生じます。通常皮膚の代謝は28日と言われていますが、これが4〜5日と短縮することによって症状が現れます。幼少時には稀で、30歳前後で発症すると言われています。治療は乾癬の重症度に応じます。軽症の場合は、外用薬(ビタミンD3軟膏やステロイド軟膏)を使用します。中等症から重症では外用薬に加えて光線療法や免疫抑制剤の内服治療(シクロスポリン、レチノイド)、さらに生物学的製剤などの全身的治療が行われます。根治させることは難しい皮膚疾患ですが、適切な治療を組み合わせて症状を和らげていきます。

マイタウン 2018年6月1日号掲載

アトピー性皮膚炎と食物アレルギー 

 アトピー性皮膚炎は乳幼児期に食物アレルギーを合併しやすいことは周知の通りです。最近では抗原を経口摂取ではなく経皮的に感作され食物アレルギーを起こすことも考えられています。
 小児の食物アレルギーの90%以上が乳児期に発症し、その多くは生後3か月以内に湿疹として症状が出現します。食物アレルギーを合併した乳児は、以前では経胎盤感作や経母乳感作が考えられていました。しかし、最近では食物抗原が経皮的に体に入れば感作され、むしろ口から食べれば免疫反応が弱くなると考えられています。例えば、口の回りに湿疹があり、そこに食べ残しが付着していれば経皮感作の危険性があります。このことから、乳児期から積極的に適切なスキンケアを行い、皮膚炎の悪化を防ぐことで、経皮的感作を防ぐことができます。それによって、その後の食物アレルギーなどの発症を抑えられる可能性が考えられています。

マイタウン 2018年4月1日号掲載

春の皮膚炎 

 春になるとスギ花粉による花粉症で苦しまれている患者さんは多いです。このようなスギやカモガヤの花粉によって皮膚もかぶれることがあります。これを空気伝搬性接触皮膚炎と言います。花粉症のない人も起こることがあります。症状は花粉に曝される顔や手に皮膚炎が出ることが特徴です。
 また春になると日差しが強くなり始めます。それによる日焼けや日光湿疹も多くなります。日光湿疹は4~6月の半袖になる頃に、日光に当たった腕や首のまわりに突然あせものような発疹が見られます。この他、降圧剤・抗生剤・精神安定剤などを内服していることによって、日光にさらされた顔や手背に皮膚炎を生じることもあります。
 また、屋外でのスポーツ時、痛み止めの湿布薬(ケトプロフェン)を貼った部位に日光過敏性皮膚炎を起こすこともあります。

マイタウン 2018年2月1日号掲載

舌の異常 

 舌には摂食・発声・味覚などの機能がありますが、舌自体の異常や全身の異常に伴い、その舌の表面の色が変わることがあります。
 舌の表面には糸状乳頭という小さくつぶつぶした組織があります。この部分が変化して舌に異常をもたらします。その一つの症状として舌苔(ぜったい)があります。これは舌の表面が厚くなり白色や褐色に変化した状態をいいます。舌苔自体病的意義は乏しいのですが、ヒリヒリした痛みや口臭の原因にもなります。熱の出る病気や胃腸の障害によっても舌苔が増えることがあります。
 逆に糸状乳頭が小さくなり舌苔がなくなり、舌がつるつるの状態になることも異常の一つです。この際は貧血や肝障害などが隠れていることもあります。
 その他、全身疾患が無くても舌自体にカビが生え、それによって舌の色調が変化することもあります。

マイタウン 2017年12月1日号掲載

フケ性 

 頭のフケによって痒みや臭いが気になることがあります、さらにフケは脱毛の原因にもなります。
 フケには2種類あって、乾いたフケと油気のあるべっとりとしたフケがあります。フケを放っておくと先にも示したようにフケが頭皮に蓄積し痒みが増し、さらに搔き壊すことによって細菌に感染することがあります。そうなるといやな臭いの原因にもなります。また、もともと皮膚にいるマラセチアというカビが原因のこともあります。
 対策はシャンプーやヘアトニックで対処します。シャンプーは髪の毛の他に頭皮の汚れを落とす目的もあり、頭皮をよくマッサージすることが大切です。また、ヘアトニックにもフケを取り除く成分や殺菌剤などが配合されています。これらを行っても改善しない場合は、炎症を抑えるステロイドローションやカビに対するローションなどで治療します。

マイタウン 2017年10月1日号掲載

足と足ツメのケア

 暑い日に気になるものの一つに足のムレがあります。手のひらや足の裏には汗腺と言う汗の分泌腺が多く存在するため、両足で1日にコップ1杯ほどの汗をかくと言われています。足をムレた状態にしておくと水虫ができやすくなります。水虫は温かくじめじめした所を好むため、夏場に水虫ができやすいのはこのためです。またムレた状態に長くしておくと皮膚や爪がふやけ、これによって爪が変形し巻き爪の原因にもなります。また雑菌が増え臭いの原因にもなります。
 水虫や巻き爪の治療はいろいろありますが、やはり予防に勝る治療はありません。これらを防ぐためには、毎日石鹸で足を洗って清潔に保つことが大切です。また同じ靴を履き続けないことも大切です。靴は2足以上を交互に履くこともよいでしょう。また夏場など足がムレやすい時期では、靴下を日中に履き替えるのもおすすめです。

マイタウン 2017年8月合併号掲載

じんま疹

 じんま疹は、蚊に刺されたような赤く膨らんだ発疹が皮膚に現れるありふれた 疾患ですが、原因を特定するのは困難なことが多いです。皮膚組織内にヒスタミ ンなどの化学物質が放出されて症状が現れます。 食物や薬剤が原因で出ることもありますが、そのほか暑くなったり寒くなった りと環境の変化や日光の影響で出ることもあります。さらに、風邪を引いた後や 疲労・ストレスも関連があります。また、皮膚だけでなく野菜や果物を摂取する ことによって口腔粘膜が腫れるタイプのものもあります。
 症状は数週間で治まるものもあれば数年続くものもあります。 治療は原因となっている因子を取り除くことですが、実際は原因が特定しにく いことが多いです。薬物療法としては、まずは抗アレルギー剤を服用し症状を抑えていきます。改 善がなければ漢方薬やステロイドの服用をすることもあります。

マイタウン 2017年6月1日号掲載

みずむし

 みずむしは白癬菌(はくせんきん)というカビの一種による皮膚の感染症で頭から足まで、身体のいたるところにできます。頭にできた物を頭部白癬、体幹にできたものを体部白癬、股にできたものを股部白癬といい、白癬菌が寄生した部位によって足白癬、爪白癬、顔面白癬と名前が付けられています。最も多いのが足白癬と爪白癬です。
 足白癬の症状は、足指に水疱を生じて皮膚が向けるタイプと、足底の角質が厚くなり皮がむけてくるタイプがあります。大部分は抗真菌剤の塗り薬で治りますが、皮膚の肥厚が強い場合は、内服薬で治療することもあります。
 日本の住環境では裸足になることが多く、お風呂場のマットや畳などで足底に菌が付着する可能性が高いです。毎日丁寧に足を洗い清潔に保つことによって、白癬菌の人への感染や自分の病変の再燃を防ぐことができます。

マイタウン 2017年4月1日号掲載

女性型脱毛症

 男性と同様に女性にも薄毛で悩む患者さんがいます。女性型脱毛症と言われています。女性の場合、男性よりも発症年齢が高く、40~50歳代もしくは閉経後に認められることが多いです。男性の場合は男性ホルモンの関与が示されていますが、女性の場合は男性ホルモンの関与は示されていません。女性では頭頂部を中心に広い範囲で頭髪が薄くなります。ただし男性と違い完全消失することはなく、頭髪が軟らかく細くなることが特徴です。また、このような脱毛症を引き起こす他の原因として、円形脱毛症、貧血、甲状腺の病気、膠原病(こうげんびょう)や常用している薬などが挙げられます。治療は、先に示したような疾患があればその治療を行います。それらが否定されれば市販薬のミノキシジルの外用が有用です。それでも改善がないようなら、ウィッグの装着や植毛術の治療もあります。

マイタウン 2017年2月1日号掲載

掌蹠膿疱症

 手のひらや足の裏に小さな膿をもった皮疹が多数できることがあります。このような症状は掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)が疑われます。小さな膿の他、かさぶたができることもあります。皮膚の下に膿をつくるのですが、細菌などに感染しているわけではないので、人にうつることはありません。7~8割は原因不明ですが、残りは扁桃腺や鼻の慢性炎症、金属アレルギーが原因のことがあります。
 治療は、症状が軽い時はステロイド軟膏や活性型ビタミンD3軟膏を使用します。軟膏でコントロールがつかない場合は、一時的にビタミンA誘導体の内服薬を使用することもあります。一度発症すると、良くなったり悪くなったりを繰り返しますが、3~7年位で自然に治癒することもあります。
掌蹠膿疱症は、足の水虫と似た症状のときもあり、顕微鏡の検査が必要な場合もあります。

マイタウン 2016年12月1日号掲載

伝染性膿痂疹

 伝染性膿痂疹は皮膚表面の細菌感染症で、一般的にはとびひと言われています。これは症状によって水疱型膿痂疹(ほとんどが黄色ブドウ球菌が原因)と痂皮性膿痂疹の二つに分かれています。水疱型膿痂疹は初夏から初秋にかけて多くみられ、乳児や小児に多くみられます。擦り傷・虫刺されや湿疹病変のところから感染し、細菌の産生する毒素によって水疱をつくり、やがてジクジクしてきます。また痒い場所は掻いてしまうため、指を介して原因となっている細菌が広がり、他の部位に飛び火します。
 次に痂皮性膿痂疹ですが、これは季節に関係なく発症し青少年に多い傾向があります。症状としては小水疱が散在し、そこがかさぶたになっていきます。治療は抗生剤を内服します。3日程度で症状は改善しますが、化膿性連鎖球菌が原因菌の場合、種類によっては腎炎を起こす可能性があるため、抗生剤は10日程内服します。

マイタウン 2016年10月1日号掲載

ムカデに刺されたら

 暑くなりましたが、この時期に増えるのが虫刺されです。蚊や蜂、毛虫などさまざまな生物によるものがありますが、今回はムカデに刺された際の対処法をご紹介します。
ムカデは屋外だけでなく屋内にも侵入し、夜行性であるため就寝時などに咬まれることが多くあります。ムカデに咬まれると、咬まれた場所に鋭い痛みが出現し、赤く腫れ上がります。夜中に咬まれた際は救急病院を受診するのも一つの選択ですが、その前に家庭でできる方法で対処してみてください。それは咬まれた幹部を43℃以上の熱めのお湯に30分~60分ほど浸します。これによってムカデの毒が失活して痛みが和らぎます。逆に冷やすことによって毒の活性が増し、痛みが強くなるとも言われています。咬まれた際は慌てずこのように対処し、痛みが落ち着いた際は、次の日に皮膚科などを受診してください。

マイタウン 2016年8月1日号掲載

口内炎

 口内炎は口の中の粘膜の炎症です。原因によって主にアフタ性とカタル性に分類されます。
アフタ性口内炎は日常よく見られるもので、口の粘膜に周囲が赤く中央が白くくぼんだ小潰瘍として認められます。アフタ性の原因は粘膜を噛んで傷つけたり、体の変調、疲労やストレスなどが挙げられます。
 カタル性は口の粘膜が広い範囲にわたって赤く腫れます。原因としては風邪をひいて熱を出した時や歯周病、飲酒そして喫煙なども関連があります。いずれも原因となるものを除去し体調管理を行い、原疾患が落ち着いてくれば口内炎も1~2週間程度で治癒してきます。治癒するまでの間は、うがい薬などを使用しながら口腔内を清潔に保つことが大切です。その他、ヘルペスウイルスや真菌(カビ)、そして全身疾患が隠れていることもあるため、治癒が遅い人は一度皮膚科へ相談ください。

マイタウン 2016年7月1日号掲載

動物咬傷

 近年動物をペットとして飼うことが多くなっており、それに伴い動物に咬まれる機会も増えています。多くは犬や猫による咬傷で手を咬まれることが多いです。動物の口腔内は雑菌が多く、また傷が小さくても牙によって傷が深くまで達していることがあります。するとその細菌が皮膚の奥で増殖し、感染症を引き起こします。
 治療は傷を洗浄し、予防的に抗生剤を内服します。また破傷風の予防注射をすることも大切です。縫合が必要なほどの大きな傷も、動物咬傷の際は縫合しないことがあります。縫合によって細菌の出口がなくなり、皮膚の奥で増殖し感染症を発症させてしまうためです。また先に示した処置をしても、感染が増悪し腕全体が腫れて熱が出ることもあります。
咬まれた際は、まず傷を良く水道水で洗うようにしましょう。それでも感染を起こす可能性があるため、早目に医療機関を受診しましょう。

マイタウン 2016年6月1日号掲載

ハンマートゥ・うおの目・タコ

 指先が窮屈な靴や足に合わない靴を履いていることで、足の指の関節がハンマーのようにくの字の形に曲がり変形した足をハンマートゥと言います。ハンマートゥは靴の影響だけではなく、外反母趾・関節リウマチ・糖尿病・神経筋疾患が持病にある人(パーキンソン病など)にも多く、特に高齢の女性に多い傾向があります。このような足の指の変形があると、突出した部位が常に靴にあたり靴擦れを生じたり、歩行時指先や足の裏の前の方に強く体重がかかるため、その部位にタコやうおの目が発生し痛みを生じることがあります。足の痛みをかばいながら歩行するうちに、腰痛を生じるなど悪循環に陥ることもあります。
 予防には、指先にゆとりのあるサイズの合った靴を選び、土踏まずなどに体重がかかるような中敷をいれて対応します。足が痛い時はまず皮膚科を受診されてみてください。

マイタウン 2016年5月1日号掲載

多汗症

 多汗症は手のひらや足の裏に汗を多くかき、日常生活に影響を及ぼすことがあります。また、わきの下にも同様なことが起こることがあります。原因がはっきりしない原発性のものや全身性疾患(感染症や甲状腺疾患など)によって起こるものがあります。原発性多汗症の平均発症年齢は25歳位ですが、幼小児期に発症することもあります。若い人の多くは原発性です。症状は精神的緊張が起こる日中の時間帯に認められ、睡眠中は発汗が停止しています。汗の量は気候によっても変動します。
 治療は制汗スプレーの他に、塩化アルミニウム溶液の外用を行います。これは汗の出口を塞ぐことによって汗の量を減らします。これとは別にボツリヌストキシンを注射する方法もあります。この治療法は、わきの多汗症に対しては保険適応が認められています。詳しくは皮膚科で相談してみてください。

マイタウン 2016年4月1日号掲載

うおのめ・たこ

 鶏眼(うおのめ)や胼胝(たこ)は、足の裏や足の指など慢性的に刺激が加わるところにできる皮膚疾患です。慢性的に力が加わることによって、皮膚は自分の体を守ろうとするために皮膚を厚くします。その厚く硬くなった皮膚がかえって痛みを及ぼすことになります。糖尿病などで足の指が変形した人や、外反母趾などの人は歩く時、力がかかる部位が変化しバランス良く足の裏に荷重ができないために、これらができてしまいます。また高齢者で背骨が丸くなっている人では、前傾姿勢となっているため体重が足の前の方にかかりやすくなり、これらができることもあります。痛みを伴う場合は、硬くなった皮膚を削ることによって症状が一時的に治まりますが、体重のかかる場所が同じであれば再発してしまいます。足の裏の土踏まずに体重がかかる靴の中敷を入れて、荷重部位を変えることもおすすめします。

マイタウン 2016年3月1日号掲載

低温やけど

 毎年冬になるとカイロや湯たんぽなどでやけどを起こす患者さんがいます。やけどは一般的には火や熱湯などかなりの高温によって起こるものですが、カイロや湯たんぽなどは40~50度位の温度でも起こることがあり、これを低温やけどと言います。症状としては皮膚に水疱ができ、ひどい場合では皮膚が死んで白くなることもあります。低温やけどは、熱さを強く感じないため、同じ皮膚の場所に長時間当ててしまうことによって起こります。そのため皮膚に触れている時間が長く、通常のやけどより損傷が深くなることがあります。湯たんぽは寝る前に寝具の中を温めるだけにして、寝る際に寝具の外に出すようにしましょう。カイロに関しては直接皮膚に当てず、就寝時には使用しないようにしましょう。また、ホットカーペットやコタツなどでは、電気をつけたまま就寝しないなどの予防が大切です。

マイタウン 2016年2月1日号掲載

帯状疱疹

 帯状疱疹とは、体の神経に潜んでいるみずぼうそうのウイルスが、加齢や免疫の低下、紫外線などによって活発になり皮膚に水疱を出現させる病気です。症状は主に体の片側に水疱が多数集まって出現し、また痛みも伴います。どこの皮膚に出現してもおかしくありません。免疫の低下した人などでは片側に集まった水疱に加えて、小水疱が全身に散在することもあります。
 帯状疱疹は、水疱が出現した場所に一致して神経痛が残ることもあります。治療は抗ウイルス薬を1週間内服します。大切なのは皮膚病変が出現後、早期に抗ウイルス薬にて治療することです。それによって帯状疱疹後の痛みが軽減されると言われています。通常うつることはありませんが、みずぼうそうにかかっていない子どもと接触すると、みずぼうそうとして発症することがあるため、接触しないよう気をつけましょう。

マイタウン 2016年1月1日号掲載

男性型脱毛症

 男性型脱毛症は、20歳代後半から前頭部と頭頂部の頭髪が徐々に柔らかく・細く・薄くなって、最終的に額の生え際が後退して頭髪がなくなるものを言います。
原因は男性ホルモンと遺伝的素因が深く関与しています。男性ホルモンは骨や筋肉の発達を促し髭や胸毛などの毛を濃くする一方、頭頂部の毛に関しては逆の作用を示します。治療は内服薬・外用剤・手術などです。内服薬のフィナステリドは頭皮での男性ホルモンを抑えることにより脱毛を抑えます。外用剤であるミノキシジルも有効性が認められています。また、自分の後ろの毛と横の毛を、薄くなった生え際や頭頂部に移す自毛植毛も確実で安全な治療法です。これは、後ろと横の毛は男性ホルモンの影響を受けないことを利用した治療法です。近日デュタステリドという内服薬も発売され、容量によってはフィナステリド以上の効果が示されています。近くの皮膚科に相談してください。

マイタウン 2015年12月1日号掲載

秋のスキンケア

 夏の暑い時期が過ぎ、ようやく過ごしやすい陽気の秋になりました。涼しくなると夏場での紫外線や汗などによるスキンダメージが改善してきます。秋は夏に悪化した皮膚のコンディションを整えるのに絶好の季節なのです。一方、冬場の寒い季節になると、冬ならではのスキントラブルが起こってきます。これに対する備えもこの頃から始めていくのが大切です。冬は湿度が低く乾燥し、また皮膚では気温が下がることにより皮脂線や汗腺の働きが落ちて皮膚表面の油気が落ちてカサカサしてきます。特に高齢の人ではもともと乾燥肌の人も多く、痒みなどの症状が強く出現する可能性があります。
 日本は四季があるように気候変動があり、皮膚はその環境に順応するのに時間を要します。そのため秋頃より、痒みなどの症状はなくても、冬に備えて皮膚の保湿を開始することが大切です。

マイタウン 2015年11月1日号掲載

マダニ咬症

 マダニは通常のダニより大きく2~3mmくらいあり肉眼でも確認できます。山の茂みや草むらに生息しており、人や動物などが植物に触れたときに乗り移ってきます。その後1週間くらいかけて吸血し、体が1cm程度の大きさまで膨らみます。種類によって差はありますが、大抵は通年活動しています。咬まれた当初は体が小さいので気付きにくく、吸血して体が大きくなってから気付くこともあります。咬まれているのに気付いた際、無理に引き抜くとマダニの頭部だけが皮膚に残存することもあります。これによって異物肉芽腫という腫瘤ができることがあります。また何よりも気を付けなければならないのがマダニを媒介する感染症です。これらの感染症の発症に関しては地域性もありますが、咬まれた際は自分で引き抜いたとしても、医療機関の受診をおすすめします。

マイタウン 2015年10月1日号掲載

金属アレルギー(2)

 金属アレルギーには、皮膚に触れた場所に一致して症状が出る局所性金属アレルギーと、触れた場所以外にできる全身性金属アレルギーがあります。
疑わしい金属製品を外すことにより症状が改善すれば診断は容易です。一方全身性の場合では、疑わしい金属の試薬をシールに着けて皮膚に貼り、皮膚の反応を見るバッチテストが診断の手掛かりとなります。
 歯科金属ではパラジウムなどが多く使われています。また化粧品器具ではニッケルが多く使われています。その他チョコレートやコーヒー、紅茶などにもニッケルは含まれているため、これらを好んでよく摂取する人は症状が悪化することもあります。
 治療は原因となっている金属から暴露されないことです。歯科金属が原因の場合は除去することが大切ですが、できない場合は口腔内を清潔に保つことで症状改善することも期待できます。

マイタウン 2015年9月1日号掲載

金属アレルギー(1)

 金属アレルギーには発症形式により2種類あります。1つは一般的によくみられる、金属が触れている場所に起こる「局所性金属アレルギー」です。もう1つは、食べ物や飲み物に含まれる金属や歯科治療などで使用している金属が溶け出し、腸管から吸収されて全身に症状を出す「全身性金属アレルギー」があります。ネックレスなどを身につけている場所に一致して症状が出る局所性金属アレルギーは診断が容易です。一方、全身性金属アレルギーでは、金属が触れている場所と違う場所、もしくは体に金属が触れていなくても皮膚症状が出ることがあるため、診断がつきにくいことがあります。これは食物やお茶、汚染された大気などにも金属が含まれているからです。症状は手足の湿疹や体幹の紅斑、じん麻疹などがあります。ある金属に暴露され、すぐに症状が出ることもあれば、5~10年ほど経過した後に症状が出現することもあります。

マイタウン 2015年8月1日号掲載